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事業承継における種類株式の活用

種類株式

種類株式とは、定款によってその種類ごとに異なる内容を定めた株式です。

以下の事項について、異なる内容を定めることができます。

  • 剰余⾦の配当
  • 残余財産の分配
  • 議決権を⾏使することができる事項
  • 株式の譲渡
  • 株主から会社への取得請求権
  • 会社から株主への取得請求権
  • 株主総会特別決議による当該種類の株式全部の強制取得
  • 株主総会決議事項等に関する拒否権
  • 種類株主総会での取締役等の選解任

種類株式については、内容や発行されている株式数等が登記事項となります。

また「株主ごとの異なる取扱い」を定めることもできます。「株主ごとの異なる取扱い」は種類株式と異なって登記されないため、外部からその存在や内容を知られることがないというメリットもあります。

種類株式の主な活用方法

① 議決権制限種類株式
後継者には普通株式を相続させ、他の相続人には無議決権株式を相続させることで、遺留分減殺請求による株式(議決権)分散リスクの低減を図る。

② 取得条項付種類株式
「株主の死亡」を取得条項における条件としておくことで、株主が死亡した場合には会社がこれを買い取ることとし、株式の散逸を防止する。

③ 譲渡制限株式
ほとんどの中小企業においては、「株式譲渡制限会社」になっており、株主が経営者にとっては望ましくない第三者に売却しようとした場合、会社(株主総会や取締役会)はこれを承認しない判断をすることにより、株式の分散を防止する。

種類株式の導入手続き

株主総会の特別決議による定款変更が必要となります。

既発行の普通株式を種類株式に変更するには、全株主の同意が必要となる場合もあります。

いずれにしろ、少数株主の同意無しには導入が困難となります。

種類株式の税法上の評価

国税庁からその評価方法が公表されているもの
・配当優先株式
・無議決権株式
・社債類似株式
・拒否権付株式

上記以外の種類株式
・時価により評価(取引相場のない株式の評価となる)

種類株式の導入については、後継者(相続人)にいかに議決権を集中させるかが主目的になりますが、導入後の税負担に関しても留意する必要があります。

中小企業庁:「事業承継ガイドライン」を策定しました
「事業承継ガイドライン」を策定しました