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大阪市での民泊がいよいよ認定開始

 大阪市における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)

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日本で一番宿泊施設が足りないと言われている大阪市で、いよいよ特区民泊の認定が開始されました。

既に先行している人々は、特区民泊認定を待たずに、簡易宿所としてゲストハウスなどを展開しています。事務所の周りや、自宅からの通勤途中でも雑居ビルからゲストハウスに転用されているのを見かけます。

ゲストハウスについては、現状ではまだ収益が見込めるため、LCCで関西新空港にどんどんやってくる外国人目当てで、まだまだできるしょう。

アジアからだと、片道1万円もかからないので、それこそ日本人が、グアムやソウル、また台北や香港に行く感覚でリピーターは遊びに来ているようです。中国人の方でも。中国の東側だと、大阪は国内移動より近くて安い場合もあるので、ビザさえあれば気軽に来れるそうです。もはやミナミは外国人だらけで、一部寿司騒動とかありましたが、どんな店でも外国人がいるのは日常化しており、ああっていう程度の感覚になってきております。

簡易宿所は増えていますが、部屋の一室などを貸し出す民泊については、大阪府での特区民泊でもなかなか許可が取得できないようです。平成28年9月30日現在でたった4施設です。

また、AirB&Bを見てみると、大阪市内の民泊は飽和状態と言われており、既に競争激化の状況になっております。

今回実施される大阪市における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)の認定開始は、賃貸マンションや、分譲マンションの一室を利用して民泊をしている方には、逆風になりかねません

まず施設要件をクリアしなければならず、特に賃貸借契約で外国人滞在施設経営事業の用途を禁止している場合や管理規約で外国人滞在施設経営事業の用途を禁止している場合、認定を取得するのは困難となります。管理組合や建物所有者等の使用承諾書を個別に取得していれば可能ですが、分譲賃貸の場合は、所有者と管理組合の両方から取得しなければなりません。

大阪市も特区民泊の認定を開始するのを機に、合わせて取り締まりも強化していく方針なので、認定を得ていない民泊物件は運営がしにくくなっていきます。民泊事業をしたいのであれば認定を取りなさいということになります。

特に分譲マンションでの民泊は、かなり問題化しております。せっかく高いローンを組んでタワーマンションを買ったのに、隣の部屋が民泊物件だったとしたら、住民としてはやってられません。管理組合としては、資産価値が下がるというキラーフレーズにより、賛成多数で民泊禁止条項を管理規約で定めていっております。ファミリーが多数居住する物件での民泊認定はほぼ不可能となります。投資用マンションや築古物件の場合、可能な物件があるかも知れません。

そのうち民泊事業組合なるものが官主導で設立され、民泊事業者の組織化も図られるでしょう。

不動産事業者からすると、実施可能区域の雑居ビルや一棟建てのワンルームマンションは転用も可能なので、収益物件としての可能性が広がる!という売り文句が増えることになります。

 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドライン

以下の事項が記載されています。

1 実施できる地域について

実施可能な区域は、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域(第一種住居地域にあっては 3,000 ㎡以下)となります。当該区域外では実施できません。環状線内はほぼ網羅されています。

2 施設の構造・用途・安全措置について

施設全般、居室、換気設備、浴室、洗面所、便所、寝具等細かく定められています。消防法令適合通知書を入手しなければいけません。通常のホテルや旅館も防火設備にはかなりの資金を投じているので、宿泊施設として運営する以上、消防法令は順守しなければいけないということなります。また建築基準法に基づく用途については「共同住宅」もしくは「寄宿舎」として扱われることになるので、用途適合施設でなければなりません。元の施設によっては大掛かりな追加工事が必要になります。

3 善良な風俗、治安の保持

滞在者名簿について
滞在者の対面について
居室の鍵について
契約者以外の滞在の禁止

4 外国人滞在施設の賃貸借契約について

契約書について
中途解約について
適正な契約について

5 分譲物件又は賃貸物件による事業実施について

賃貸借契約で外国人滞在施設経営事業の用途を禁止している場合  → 認定不可
管理規約で外国人滞在施設経営事業の用途を禁止している場合  → 認定不可

6 必要な役務の内容及び役務を提供する体制について

使用する外国語について
施設の表示や利用案内の説明について
水道について
近隣住民に対する説明について
苦情処理体制について
ごみについて
火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法
(防火、防災設備の使用方法を含む。)
滞在者の病気、事故、事件等に対応

7 近隣住民の皆様への事業の対応について

8 衛生措置について (旅館業における衛生等管理要領を参考)

衛生に必要な措置
1 施設一般管理
2 ねずみ衛生害虫の防除
3 浴室の管理
4 洗面所の管理
5 便所の管理
6 給水、給湯設備の管理
7 照明設備の管理
8 換気設備の管理
9 寝具の管理
施設の利用基準
自主管理体制

9 施設に関する情報開示について

10 申請、変更について

申請手数料について
(1)特定認定の申請に対する審査 1件につき 21,200 円
(2)法第 13 条第5項の変更の認定の申請に対する審査 1件につき 10,500 円(認定事業に係る施設について現地調査を行う必要がない場合にあっては、2,500 円)

固定資産税の取扱い

・国家戦略特区法第 13 条の認定を受けた「外国人滞在施設」は、基本的に7~10 日程度の短期間の滞在を想定した施設であり、特定の者が継続して居住の用に供する家屋とはいえないことから、地方税法上の固定資産税等の軽減措置における「住宅」と認定することはできないこととなる。当該施設の敷地については住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用されないこととなり(一部を人の居住の用に供する家屋については、床面積に占める居住部分の割合により特例の適用対象かどうかが判断される。)、新築住宅に対する減額措置についても適用されないこととなる。

以下、Q&Aを抜粋しています。

最低滞在期間7日の意味は?上限はあるのか?

最低6泊7日の滞在が必要です。滞在期間の上限はありません。2泊3日に緩和される予定

25㎡の図り方は?

壁心(上から見た壁の厚みや柱の中心線から、その囲まれた床面積)です。面積は、台所、トイレ、風呂、クローゼットを含む、ベランダは含みません。

マンション又は戸建てで、居住しながら、一部の部屋のみを滞在施設として認定を受けることはできるか。

居室と併せて風呂、トイレ、台所を賃貸借により滞在者に独占的に使用させることが必要であり、施設の持ち主が居住しながら、ホームステイのような形態で一部の部屋のみを貸すことはできません。

マンションや戸建てで、風呂、トイレ、台所を共用で、個室を別々の契約で貸すことは可能か?

居室と併せて風呂、トイレ、台所を賃貸借により滞在者も独占的に使用させることが必要であり、戸建一棟、あるいは居室全体を 1 契約で貸すことは可能ですが、個室を別々の契約で貸すことはできません。

特区地域内では、民泊が合法化されるのか?

本事業の認定を受ければ旅館業法の適用除外として事業を実施することができますが、認定を受けず、また、旅館業法の許可を得ないで、「宿泊料を受けて、人に寝具を使用して施設を利用させる営業」を行うことは旅館業法違
反となり、できません。

認定対象は、居室か?棟単位か?

同一事業者であれば、棟単位で、居室を特定して認定します。(同じ棟で部屋を追加する場合は変更認定)

 今後の動向

取り締まりがどの程度強化されるかが、まだわかりませんが、まずは事業規模の大きな民泊業者が対象になっていくでしょう。

京都市では、本格的に取り締まりが始まっていて、まずは大規模に事業展開していた業者から摘発されていきました。

警察がどの程度関与していくかですが、行政はやる時はやるので、あと5年もしたら違法民泊業者は一掃されている可能性があります。

外国人の運営している違法民泊も、徐々に摘発されていくでしょう。

併せて簡易宿所の許可要件が緩和される可能性があります。

大阪市内では、中規模ホテルの建設が相次いでおり、ホテル業界としては大規模な投資をする以上、民泊が増え続けるのは困ります。

大阪市側としては、無秩序に違法民泊が増えると住環境に与える影響も大きいので、簡易宿所と特区民泊は認めるが、他の違法民泊を取り締まることによって、住環境の保全とホテル業界との利益衡量を図るのではないでしょうか。

大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)
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