民泊物件紹介サイトで代表的な Airbnb 「エアビーアンドビー」に登録している大阪の物件を見ていると、ここにもある!こんなとこも!という驚きがあります。長屋も外国人から見たら立派な日本家屋となるようで、築40年以上の物件も工夫次第では立派な宿泊施設となります。
単純に一泊の値段を30日で掛けてみると、結構な金額になるので、稼働率100%というのはありえないでしょうが、60~70%で家賃と同程度になるように価格設定されているようです。
では具体的にはどのような内容となっているのでしょうか
icon-check-square-o 旅館業法の特例
今回の大阪府の条例は、「国家戦略特別区域法における旅館業法の特例」を大阪府において施行しようとするものです。
icon-comment-o 旅館業法の特例の内容
知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。)の認定「特定認定」を受けることにより、旅館業法第3条第1項の規定の適用除外となる。
施設等の要件
- 施設の所在地が国家戦略特別区域にあること。
- 施設を使用させる期間が7日から10日までの範囲内において施設の所在地を管轄する都道府県の条例で定める期間以上であること。大阪府の場合は7日となります。
- 施設の各居室は、次のいずれにも該当するものであること。
ア 一居室の床面積は、25平方メートル以上であること。ただし、施設の所在地を管轄する都道府県知事が、外国人旅客の快適な滞在に支障がないと認めた場合においては、この限りでない。
イ 出入口及び窓は、鍵をかけることができるものであること。
ウ 出入口及び窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること。
エ 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備を有すること。
オ 台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること。
カ 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具を有すること。 - 施設の使用の開始時に清潔な居室を提供すること。
- 施設の使用方法に関する外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること。
- 当該事業の一部が旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に該当するものであること。
施設、設備要件については、具体的な基準がまだ明確ではありませんが、随時例示されていくものと思われます。
icon-comment-o 特定認定の申請内容
- 特定認定を受けようとする者は、あらかじめ、所定の申請書及び添付書類を、施設の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならないこと。
ア 申請書の記載事項
(ア) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(イ) その行おうとする事業の内容
(ウ) 施設の名称及び所在地
(エ) 施設の構造設備の概要
(オ) 施設の各居室の床面積
(カ) 施設の各居室の設備及び器具の状況
(キ) 施設内の清潔保持の方法
(ク) 提供する外国人旅客の滞在に必要な役務の内容及び当該役務を提供するための体制
(ケ) 特定認定を受けようとする者の電話番号その他の連絡先
(コ) 施設のホームページアドレス
イ 申請書の添付書類
(ア) 申請者が法人である場合には、定款又は寄附行為及び登記事項証明書
(イ) 申請者が個人である場合には、住民票の写し
(ウ) 賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款
(エ) 施設の構造設備を明らかにする図面 - 特定認定を受けた者は、申請内容等の変更をしようとするときは、都道府県知事の変更の認定を受けなければならないこと。ただし、当該変更が施設の名称の変更等の軽微な変更の場合には、その日から10日以内に、その旨を都道府県知事に届け出ればよいこと。
- 認定事業者は、特定認定を受けた事業を廃止したときは、その日から10日以内に、都道府県知事に届出を行わなければならないこと。
内容としては、美容院の開設申請に似ていますが、保健所等の実地検査があるのか、あくまで書面審査なのかまだ明確ではありません。実地検査があると、実際に設備を検査するので、設備要件をクリアーするために、ある程度のコストはかかるでしょう。
特定認定の取消し等
- 都道府県知事は、次のいずれかに該当するときは、特定認定を取り消すことができること。
ア 認定区域計画の変更の認定があったとき。
イ 認定区域計画の認定が取り消されたとき。
ウ 認定事業者が行う認定事業が上記(1)の要件に該当しなくなったと認めるとき。
エ 認定事業者が不正の手段により特定認定を受けたとき。
オ 認定事業者が変更の認定を受けず、又は変更の届出を行わなかったとき。
カ 認定事業者が報告徴収に対して報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 - 都道府県知事は、本法の施行に必要な限度において、認定事業者に対し、認定事業の実施状況について報告を求めることができること。
大阪府の条例についての追加事項
認定要件の実施状況を確認できるよう、認定事業者の事務所又は外国人滞在施設に立入調査等を行う権限を条例で設定されました。なお、立入調査を拒否された場合の罰則については、条例に規定しないこととされましたが、立入調査の結果、認定要件が守られていない場合には、事業認定を取り消されることになります。
icon-comment-o 留意事項
留意事項として主なものは以下となります。
事業者においては、対応できる外国語の種類も含め、各施設で提供する役務を契約及びホームページで明示し、これらの定めに基づき提供することが求められるものであること。
災害や急病、事故等の緊急時において、外国語により避難や救急医療等に関する情報を提供するといった対応を迅速に行うことができる体制が求められるので、特定認定に際しては、申請書においてこれらの実施に係る体制について確認が求められること。
使用期間の途中で滞在者の事情で任意の契約の解約が可能であれば、期間を定める意味が実質的になくなることから、特定認定に際しては、契約約款における解約条項に関して確認が求められること。
政令指定都市、中核市については、別途条例で定められることになるので、大阪市や堺市は対象外ですが、具体的にどのような申請基準が設定されるのかは今後注意が必要です。