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損害賠償金の税務処理

09131ワイドショーを見ていると、示談金がどうのこうの、慰謝料がどうのこうのと、金の話がよく出ています。

金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものです。

示談金や慰謝料をもらう人が、税金を取られたらやってられんよなあと思い、調べてみました。

税務上、損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金等の名目を問わず、他人に与えた損害を補てんするために支払う一切の金額が含まれます。この他人には法人も含まれます。

 支払側

法人や、個人事業主においては、業務上何らかのトラブルがあって、損害賠償として金銭のやり取りが発生することは多々あります。損害賠償金が経費(損金)となるかどうかは、まずは業務関連性の有無により判定されます。そもそも経費になるかどうかを気にするのは法人や、個人事業主だけですね。

したがって業務との関連のない、個人的なトラブルによる損害賠償の支払いに関しては、経費として認めらません。

例えば、イケイケドンドンの社長が羽目を外して女性問題でトラブルを起こし、手切れ金という名目で金銭を渡したから、何とか会社や事業の経費にできないかとの相談があったとしても「無理です」としか答えようがありません。手切れ金の代わりに高額な車や不動産等はどうだ?と言われても、、そのような他の資産をただで対価なしに譲渡した場合には、贈与税の問題が出てきます。

業務上のトラブルによる損害賠償金については、ケースごとに算定基準があります。弁護士や裁判所等、第三者が介在した場合は、社会通念上妥当な水準に落ち着くことになり、損害賠償金の算定基準も明確です。弁護士や裁判所等が介在しない場合においても、損害賠償金の算定基準については必ず記録し、双方で同意した書類を残しておく必要があります。

損害賠償金が社会通念上妥当な水準から大きくかけ離れた場合は、何らかの特殊要因があって、加算されており、その特殊要因による加算額が社会通念上妥当でなければ、認められない可能性があります。社会通念上妥当という金額の基準はなんだと言われると、まあ一般的な常識的な金額とか、判例の金額とか、結局先例主義になってしまいます。

 受取側

支払側と同じように、法人や個人事業主の場合は、業務関連性の有無により判定され、業務に関連した場合は、受取側も収入として計上することになります。

では業務に全く関連性がない損害賠償金を受け取った個人事業主、また確定申告をしていない個人の場合、損害賠償金をは申告しないといけないのかが問題となります。申告をすると、収入となり、所得が増加した結果、所得税が課税されるので、手取り金額が減少します。

被害者が心身に加えられた損害について支払を受ける慰謝料などや心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金などを受け取ったときは、これらの損害賠償金等は非課税となります。非課税ということは、申告する必要がないということです。

ただし、これらの損害賠償金のうちに、その被害者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、その補てんされた金額に相当する部分については、各種所得の収入金額とされます。

また損害賠償金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られます。また、収入金額に代わる性質を持つものや役務の対価となる性質を持つものは、非課税所得から除かれ、各種所得の収入金額とされます。

通常、損害賠償金を決める話し合いの中で、社会通念上妥当な金額に落ち着くのですが、特殊要因があって、特別に加算した金額がある場合には、その加算分に関しては課税所得となる可能性があります。

業務との関連性があるかどうか

社会通念上妥当な金額か

金額の算定基準は明確か

以上、3点に留意して、個々のケースによって、判断することになるという、答えのようで答えになっていないということに結果になってしまいました

不安な方は個々のケースごとに税務署や税理士に確認することをお勧めします。

消費税に関しても原則として、対象外(不課税)ですが、商品代金の補てんとしての損害賠償金など、課税対象となる場合もあります。