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管理費の滞納があったときの督促について

マンション管理組合の運営において、頭の痛い問題が管理費の滞納です。一定の割合で必ず滞納する人が出てきます。通常、管理会社は通常の請求、集金事務までを業務として受託します。滞納者に関しては、管理組合に対して報告はしますが、滞納債権の回収業務は通常業務外となります。滞納債権の回収には非常に時間と労力がかかるので、管理会社もコスト倒れになります。

管理組合の役員になって定例理事会に出席して初めて、子供同士が仲良くしているAさんとか、普通に挨拶しているBさん、積極的に自治会活動を行っているCさんが、実は大口滞納者だったということがわかってショックを受けるということがあります。

滞納債権に関しては、初期対応が非常に重要になるので、たとえ滞納者が日ごろから顔見知りの人でも情けを捨てて、事務的に対応するしかありません。そこで甘い顔を見せると、どんどん滞納額が増加していきます。

平成28年のマンション標準管理規約の改正における、「滞納管理費等回収のための管理組合による措置に係るフローチャート」が、滞納があったときの対処法としてよくまとめられています。

国土交通省 マンション管理について

  督促の手順

管理組合は、滞納者に対して、滞納管理費等の支払の督促とともに、今後も滞納が継続する場合には、その状況に応じてさらなる措置を執ることになる旨を事前に警告する。

<督促の手順の例>
1ヶ月目  電話、書面(未納のお知らせ文)による連絡
2ヶ月目  電話、書面(請求書)による確認
3ヶ月目  電話、書面(催告書)
4ヶ月目  電話、書面、自宅訪問
5ヶ月目  電話、書面(内容証明郵便(配達記録付)で督促)

(過去の実績によれば、失念していたなど一時的な要因で滞納した者は、3か月以内に滞納を解消する)
→ 単に払いたくないという人も、催告をしているうちに少しづつ支払います。一般常識があれば、たいていの債権者は「3か月」を超えると何らかの行動を起こしてくることを知っています。

(管理費の滞納者のほとんどは、ローン等の支払も滞納していることが多いため、6か月以内に銀行が債権回収のために競売等に動き出すことが多い)
→ こうなると、銀行には勝てません。滞納者も銀行等の大口債権者の顔ばかり見て、管理組合への債務は後回しになります。

銀行等の他の債権者による競売が実施された場合は、裁判所に対して配当要求を行い、滞納管理費等を回収する。
→ 最近はほとんどの場合、ローンの残債務の額が、競売での価格を上回っているので、剰余金がなく回収できません。

売却代金の配当では滞納管理費等の全額を回収できない場合は、特定承継人(買受人=次の区分所有者)から回収する。特定承継人が弁済しない場合は、特定承継人の資産について、先取特権の実行や債務名義に基づく強制執行を実施する。
→ 管理費や修繕積立金の滞納物件の場合、ある意味訳アリ物件なので、当初から滞納額を考慮した価格設定がされています。手付金が売主に渡った段階等に滞納金を精算してもらわなければ、また同じことの繰り返しになってしまいます。管理組合としては、滞納物件が売りに出たらその情報を把握しておかなければなりません。

以下、
(2)滞納者の保有財産の調査
(3)区分所有法第7条の先取特権の実行
(4)区分所有者の資産に対する強制執行
(5)区分所有法第 59 条による区分所有権の競売請求
と続きますが、督促の段階が一番重要となります。

できれば、督促の段階で回収するのが一番コストも時間もかかりません。絶対回収するぞという管理組合の意思表示が重要になります。


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