税務上、株式の評価にはいろんな方法があります。
取引市場の株価等客観的に評価される株価があれば、それを適用すればいいのですが、実際には日本の会社のほとんどが上場しておりません。
またほとんどの会社が同族会社です。
従業員数が100人未満の会社で小会社にも該当しない場合、また類似業種取引相場のない株式等を評価する場合は純資産価額方式により計算することとなります。
純資産価額方式=(総資産価額-負債の合計額-評価差額に対する法人税額等に相当する金額)÷ 株式数
ここでいう総資産価額とは相続税評価額による総資産価額となります。
貸借対照表における総資産の帳簿価額とは異なります。負債の合計額における負債に関しても、引当金や準備金など確定債務でないものは含まれません。有価証券や土地や建物等の固定資産に関しては、評価替が必要になり、その評価差額に対して、法人実効税率を乗じた金額を計算します。
税制改正により、平成28年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度における法人税率は23.4%となりました。
よって純資産価額方式で適用する「法人税率等の合計割合」が「38%」から「37%」に改正されました。
純資産価額方式での評価は、個々の資産、負債について、資産性、負債性の検討に始まり、また相続税評価額を計算する必要が生じるため、意外と手間がかかります。
相続時において、純資産価額方式で株式の評価をすることが予測される場合、決算期ごとに帳簿価額と相続税評価額との差額が生じる資産を洗い出し、また資産や負債に計上されていないが、相続時点において計上される可能性がある生命保険金や退職金等の金額をあらかじめ把握しておくことが望まれます。