マイナンバーが実施された後は、資産税が強化されるんじゃないかと巷では推測されています。
国債残高がGDP比200%を超えている状況が、終戦時と同じということなので、戦後どのような政策が実施され、膨大な国債が償還されたのかと思い調べてみました。
財務省HP「戦後の我が国財政の変遷と今後の課題」という資料が閲覧可能となっており、詳細に分析されていました。
戦後直後の混乱期における金融危機対策と財政再建
金融危機対策
昭和21年2月16日「金融危機措置令」が発出され、翌17日「預金封鎖」、「新円切替」を同時に実施された。
「預金封鎖」
2月17日以降、全金融機関の預貯金を封鎖し、引出しを原則的に禁止。生活費や事業資金について一定額のみ引出しを承認。
実施期間:昭和21年2月17日から昭和23年3月末までの約2年間。
封鎖預金からの新円での引出可能な額は、当初は月額世帯主300円、世帯員1人当たり100円。
「新円切替」
日本銀行券を昭和21年3月3日以降は「旧券」として強制通用力を喪失させることとし、同7日までに流通中の旧券を預貯金等に受け入れ、既存の預金とともに封鎖。
2月25日より「新券」を発行し、新円による預金引出しを認める(引出可能な額は上記金額)。
2月25日から3月7日までの間は、一定限度内に限って(一人当たり100円)旧券と新券の引換えが行われた(交換比率は1:1)。
財政再建計画
GHQとの調整等を経て、「財産税」及び「戦時補償特別税」の2税を創設。
「財産税」
昭和21年3月3日時点において国内に在住した個人を対象に、通常生活に必要な家具等を除く個人資産(預貯金、株式等の金融資産及び宅地、家屋等の不動産)に対して、一回限りの特別課税(税率は課税価額に応じた累進課税(税率25%~90%))。
「戦時補償特別税」
戦時中、戦争遂行のために調達した物品や建設工事の工事代金等の軍や政府に対する戦時補償請求権に対して100%課税を行うことで、戦時補償の支払いの打ち切りを実施。
両税の税収は「財産税等収入金特別会計」で経理され、原則として国債償還金に充当された。
財産税及び戦時補償特別税による収入は5年間累計で約487億円(昭和21年時点:一般会計税収約264億円、個人及び法人企業の金融資産は約3,806億円)。
国債残高対GDP比縮減の要因
ではこれらの対策は実際に国債残高の対GDP比の削減に寄与したのでしょうか?
結論としては、ほとんど寄与しませんでした。
上記表より、財産税や戦時補償特別税は特に寄与したわけではなく、戦後のハイパーインフレーションが国債残高対GDP比縮減に寄与したのでした。どうやら財産税法で課税強化したところで焼け石に水だったようです。
卸売物価上昇率ベースでみると、単純計算すれば、昭和20年で100円で買えたものが、昭和21年には533円、昭和22年には1577円、昭和23年には4188円、昭和24年には6839円、昭和25年には8084円出さないと買えなくなったのです。実に80倍もの物価上昇率です。逆に、借金は80分の1になったのです。
国債の額面金額はハイパーインフレにならないので、額面金額しか償還されません。国債の保有者からすれば、昭和25年に100円償還してもらっても、何も買えません。日本全国で国を信じて国債を買った国民は、みな国債が紙くずになって、財産を失いました。愛国者ほど財産を失いました。
今3000万円の住宅ローンがあるとしましょう。
ある日突然国債がデフォルトして、ハイパーインフレが起きるとします。戦後と同程度のハイパーインフレが起きると、借金の実質価額は37万円になります。
収入がハイパーインフレに対応して、名目上増えるのであれば、30万円の給料が、インフレ効果で80倍となり2400万円となります。
ハイパーインフレによるハイパー利息の返済を耐え忍げば何ヶ月かの給料で住宅ローンが一気に返せるようになるのです。
ハイパーインフレは借金をしている者には好都合です。
もはや、膨大な国債を実質帳消しにするためには、ハイパーインフレしかないのでしょうか?
もし、ハイパーインフレがやってくるのであれば、身の丈を超えた借金をして不動産の購入でも検討した方が、現金を保有するよりはいいでしょう。しかし、財産税が実施されたら課税強化されるだろうし、人口減少の日本ではインフレ以外に不動産の価格上昇要因がありません。借り手があるかもわかりませんし、ハイパーインフレが来なかったら下落する一方です。
さらに国外への資産の移転も課税強化され、困難になってきております。
やはり、いつどうなっても、どんな仕事でもできるように体を鍛えておくことでしょうか。
いつもパソコンの前に座ってばかりでは、来るべきハイパーインフレに耐えれそうにありません。
やばいです。