管理人の人手不足が常態化
昨今の人手不足はいろんな業界を直撃しております。マンション管理業においても、マンションに常駐する管理人不足が常態化しております。以前は管理人になっていたような60歳前後の人材が他の業種に就いており、人件費を上げないと採用できない状況です。また一旦採用されても、報酬の割にはハードワークのため離職される方も多いのです。時に大規模マンションの場合、対応しないといけない住民が多く、中には管理業務以外のことを要求する住民もいて、疲弊してしまい、同じような給与水準の楽な仕事に転職してしまうのです。
管理会社も赤字を出してまで管理業務を受託することはありません。管理状況の悪いマンションの場合、そもそも資金的に余裕がない場合が多いです。受託した管理会社が改善提案をしても受け入れられず、管理会社の投入工数が増加しても管理費の値上げなんて言語道断だという話になるので、最初から受託しません。
さらに短期間で頻繁に管理会社を変えているようなマンションは、要求が激しい割には管理委託費が少ないと容易に予測されるので手を出しません。
住民の高齢化により管理費の値上げは困難
管理費の原資は区分所有者が支払う管理費、もしくは駐車場収入であり、上限額が決まっています。また住民の高齢化が進むマンションでは、管理費や修繕積立金の値上げが総会で否決される場合もあります。年金暮らし世帯が主流派となったマンションでは管理費や修繕積立金を値上げして、資産価値を向上させようとする意見よりも、現状維持を選択する意見の方が強くなります。
そもそも総会を開催しようにも連絡がつかず、委任状さえ取得できないこともあります。抜本的に管理状況を改善するために、管理規約を変更しなければ埒があかないとなっても、特別決議が可決されることはありません。
管理組合の収支状況から将来の値上げを予測
中古マンションの購入を検討するとき、物件本体価格がお得だからと言って、あとで管理費と修繕積立金の支払額が増加したら、月々の負担額が増加して、返済計画に狂いが生じます。
修繕積立金の残高のみではなく、管理組合の収支関係資料も購入検討時に閲覧できるのであれば、見ておいた方が無難です。宅建業者に積極開示する管理組合は概ね管理状況は良好だと予測できます。年々の収支状況が確認できるので、将来の管理費や修繕積立金が不足する可能性も予測できます。
人口縮小や高齢化の影響は、今後10年間ぐらいで顕在化してきます。昭和や平成の時の常識がどんどん通用しなくなるでしょう、マンション管理においても、お金のないマンション管理組合の場合、管理会社がどこも受託してくれない時代がもうそこまで来ています。
マンション管理にお金を使わないと共用部分からどんどん劣化していきます。自主管理できるような元気な区分所有者がいるマンションであればいいのですが、ほとんどのマンションの場合、荒れるに任せるのではないでしょうか。そのような兆候があるマンションを中古で購入して、リノベーションなどをしてしまい、終の棲家にしてしまうのはとてもリスクが高いです。中古マンションを購入するときは管理状況も要検討事項ですね。