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民泊についての判決 平成29年1月 大阪地裁

大阪市内では至るところのマンションで民泊が実施されています。また雑居ビルを改装した簡易宿所であるゲストハウスも、あれよあれよという間にできています。やはり何事も早い者勝ちなので、稼げるうちに稼いでしまえということでしょうか。

当然、普通の分譲マンションに突如外国人が出入りするようになると、住民に対して多大な影響を与えます。まず民泊をした場合、ゴミの量が半端ではありません。さらに騒音も発生します。

住居として設計されている通常の分譲マンションが民泊に転用されるといろんな問題が噴出してきます。そこで、管理組合の管理者が民泊営業を実施した区分所有者を訴えるケースが相次いでいます。

判決内容

区分所有者は、不利と思ったのか、さっさと売り抜けています。訴えられた時点で営業は不可能と判断したのでしょう。したがって、不法行為に基づく損害賠償50万円のみ認められています。訴訟費用の4分の3を管理組合の負担とし、4分の1が被告の負担となっています。これじゃ訴えるのを躊躇してしまいますが、それでも出て行ってくれるならよしとするかですね。

事実認定の内容

事実認定の内容が民泊あるあるの列挙となっています。

1 被告は、1日当たり1万5000円(保証人及び敷金はなし。)で建物を賃貸する営業を開始し、約1年9か月間続いた。

2 賃貸利用者は、インターネット上のサービスを通じて申し込んだ、2人から7人の外国人グループがほとんどであり、利用期間は長くても9日程度であった。

3 建物には、3LDKの間取りで、ベッドも備付けられいる。

4 生じた問題

(ア)マンションの東隣の建物の金綱フェンスにつり下げられたキーボックスの中に、本件建物の鍵を置き、利用者に対し、の案内メールを通じてキーボックスの所在を知らせるなどして鍵を扱わせた。

(イ)建物の鍵は、マンションの玄関のオートロックを解除する鍵でもあり、利用者が、鍵を持たない者を内側から招き入れることもあった。

(ウ)民泊営業のため、マンションの居住区域に、短期間しか滞在しない旅行者が入れ替わり立ち入る状況にある。

(エ)旅行者が多人数で利用する場合にはエレベーターが満杯になり他の居住者が利用できない、利用者がエントランスホールにたむろして他の居住者の邪魔になる、部屋を間違えてインターホンを鳴らす、共用部分で大きな声で話す、建物の使用者が夜中まで騒ぐといったことが生じている。

(オ)大型スーツケースを引いた大勢の旅行者が、マンション内の共用部分を通るため、共用部分の床が早く汚れるようになり清掃及びワックスがけの回数が増えた。

(カ)ごみを指定場所に出さずに放置して帰り、後始末を本件マンション管理の担当者が行わざるを得ず、管理業務に支障が生じている。また、ゴミの放置により害虫も発生している。

(キ)本件建物およびエレベーターの非常ボタンが押される回数が、月10回程度と多くなっている。

5 被告は、マンションの元居住者でもあり、管理規約改正の前後を通じて、管理規約の内容を知っていた

6 被告は、管理組合から、注意や勧告等を受けた期間中にも、あえて本件建物を旅行者に賃貸する営業を止めなかった

7 管理規約では、理事長は、区分所有者の管理規約違反行為、区分所有者もしくは第三者の共用部分等に関する不法行為について差止請求、必要な措置又は費用償還もしくは損害賠償請求できる旨定められている。

上記のように一部の区分所有者が民泊営業をすると、管理の手間が増えて、人手がかかってしまいます。結局管理費用が上がってしまいます。それを民泊営業をしていない一般の区分所有者が負担することになります。特に、ゴミの量は確実に増加します。

原則として住居専用として設計されている分譲マンションの場合、民泊営業は禁止しなければなりません。また認めたとしても、管理費について追加費用を負担してもらうなどの規約改正等により相応の追加負担を要求するのが望ましいでしょう。