高齢化マンションが激増
マンション管理士を取得して以来、マンション管理組合監査や規約改正、または管理組合の税務申告などに関わってきました。マンションを巡る諸問題にも対応してきました。
これから築40年以上のマンションが増えてきますが、区分所有者も高齢化していきます。管理不全のマンションはどんどん劣化していきますが、マンションは共用部分が多く、何事もみんなの同意を経て決めていかなければなりません。
まず、建替えなどの大きな課題に関しては、同意を取るための会議が全く先に進みません。区分所有者はそれぞれ事情が異なり、もう先も短いし、それまで住めたらいいやという人と、追加拠出をしても建替えを推進したいという区分所有者がおり、意見が一致するわけがありません。また建替えの期間、どこかに引越す必要があるため、それも高齢者にとってはとても億劫です。
好立地かつ容積率に余裕がある物件でもほぼ無理
国は建替えのためにいろいろ施策を打とうとしていますが、建替え事例は数パーセントです。建替え対象の老朽マンションのうち、98%以上はそのままです。建替え事例は数百件です。建替え事業に乗り出しているデベロッパーも多数ありますが、利益が見込める物件しか相手にしません。もしくは建替えコンサルティングで費用がかかるだけです。駅近かつ容積率に余裕がある物件が対象で、そんなものは稀少物件です。タワーマンションなんて大規模修繕を重ねるたびに、膨大な修繕費がかかります。築40年以上経過しても、その膨大な修繕費を支払う余裕がある区分所有者がどれだけいるのでしょうか。
マンションは私有物なので行政は基本的に関与しない
区分所有者が高齢化してくると、自分の健康が第一で、マンションのことまで考えてられません。建替えや取壊しには膨大なコストがかかってきます。一戸建てだと自分やその相続人の意思でまだなんとかなりますが、マンションの場合、区分所有者の多数決次第で何も先に進みません。そして何をするにも結局お金がかかってしまいます。マンション販売業者はマンションの最後のことなんて誰も考えていません。ただただ新しい物件を造って売るだけです。行政は私有物には関与しません。戸数が何百もある物件は区分所有者が自分たちで最後をどうするか決めるしかありません。
自分たちが生きている間だけは、なんとか水と電気とガスが供給され、エレベーターが動くように管理組合活動に協力しましょう。
首都圏の新築マンションの平均価格は1億円を超えたらしいです。大阪府においても、新築分譲マンションの平均価格は4,000万円を超え、中古価格も上昇を続けています。一方で空き家も増え、限界集落も増加しています。日本の住宅政策は行き当たりばったりなので、皆個人個人が自分の収入に合わせて、どのような家に住むのか、決めていくしかないようです。