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マンション管理組合と無関心

最近同業者の公認会計士がリゾートマンションの管理費など総額約11億円を着服していたという事件がありました。16年間もの長きにわたって、理事長を務めていたとのことです。

よくもまあ、わからなかったと思いますが、リゾートマンションの特殊性を鑑みても、やはりチェック機能が全くなかったということになります。

さらにやっていてたのが会計士だということで、実査、立会、確認等の主たる監査手法を自作自演していたのでしょう。さらに周りも会計士だということで安心していたのかも知れません。しかし横領された金額を見ると安心しすぎやろと思います。もうこのマンションはまともな修繕はできないでしょう。

管理組合では大金が動く

仮に住宅戸数が100戸数のマンションとして、一人当たり管理費と修繕積立金が2万円/月とします。年間24万円×100戸=2400万円となります。半分を修繕積立金として積み立てたとしたら8年で1億円近くになります。

かなりの大金です。

しかし、マンションの住民は管理組合の運営には結構無関心です。無償なのに月に何回か拘束される面倒な管理組合の運営にはできるだけタッチしたくないというのが本音でしょう。

管理組合の理事長になってもたいていの場合報酬は無償ですが、実はお金がそこにはたっぷりとあります。住民が無関心であればあるほど、管理組合で不正をしようと知恵を働かす者には好都合となります。

最初はボランティア精神で管理組合の運営に力を尽くしていた有志の方々も、何年も理事会を運営しているうちに感覚がマヒしてくる人が出てきます。人のお金なのに自分が差配できるものと勘違いしてしまうのです。最初はちょっとした飲み会の費用に管理費を充当することから始まって、自分用の備品の購入、業者へのキックバックの要求等へとつながっていきます。最終的にはあからさまに預金を直接引き出すという行為に出ることもあります。

固定化したメンバーは危険!

理事長が何年も変わることなく、またその周りの役員も変わることなく、さらに管理会社、取引業者が変わることもないのに、このデフレ下で年々管理費が上がっていくのであれば、ちょっとおかしいなあと疑問を持つべきです。管理会社側が薄々気づいたとしても、マンション管理組合の理事長名義の預金の管理はあくまで管理組合の責任となるので、管理組合を無視して、直接住民に不正の事実を報告することはありません。マンション管理業者はあくまでも基幹事務を委任されている業者に過ぎません。

私の経験では、不正を働いている理事長に限って、気さくで子供たちにも声をかけ、自治会の運営にも積極的に関与していきます。案外人望があるのです。そしてあの人が理事長でよかったなあと皆が思ってもらえるように持っていきます。単に替えられるとまずいからです。

不正を続けている理事長、もしくは理事会の構成メンバーにとって一番困るのは大幅な役員の交代となります。

もし、お住いのマンションの理事長、もしくは理事会のメンバーが長期にわたって固定化されているとします。そのメンバーに対して、「ずっと役員さんも固定化されているから、大変でしょう。そろそろ半分ぐらい変わってもいいんじゃないかなあ。」と冗談半分で言った時「そんなことはない。今のメンバーが熟練者なので、何も知らないメンバーが増えたら非効率的だ」等の反撃を食らうようであれば程度の差こそあれ、何らかの不正を働いている可能性は高くなります。「じゃあ、あなたやってくれますか?もしくは今度から輪番制にしましょうよ」等との提案が逆にあれば、おそらく不正も行われていません。

マンションの管理組合で不正が行われる最大の原因は何よりも「無関心」にあります。せめて年に一回の総会ぐらいは参加するべきです。


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