大阪市における生活保護と住宅扶助費

マスコミでもよく取り上げられているように、生活保護といえば大阪がよく話題になります。とりわけ大阪市の生活保護の実態は全国でもワーストの方です。

厚生統計要覧 第3編 社会福祉 第1章 生活保護

大阪市の生活保護世帯は平成28年6月において以下のようになっています。

  • 世帯数 116,312
  • 人員 145,057
  • 保護率 53.7

大阪市HP 生活保護の適用状況など

これは実に大阪市民の18人に1人が生活保護を受給しているということになります。

では、生活保護を受けている方はどこに住んでいるのでしょうか?

実際は大多数の方が賃貸物件に住んでいます。

住宅扶助の限度額

大阪市の住宅扶助の限度額(平成27年7月1日以降)は以下のようになっています。
生活保護費について

世帯人員別の住宅扶助の限度額

  • 1人 40,000円
  • 2人 48,000円
  • 3~5人 52,000円
  • 6人 56,000円
  • 7人以上 62,000円

なお、1人世帯においては、住居等の床面積に応じて、更に次のとおり限度額が定められます。

1人世帯の住宅扶助の限度額

  • 11~15平方メートル 36,000円
  • 7~10平方メートル 32,000円
  • 6平方メートル以下 28,000円

ワンルームマンションなら、最低でも普通16平方メートルぐらいあるので、生活保護受給者に最低40,000円で貸し出すことは可能ということになります。築年数が古く、なかなか借り手が見つからない物件は、生活保護対応住宅になる場合もよくあります。

生活保護費の予算

大阪市の平成27年度の生活保護費の予算のうち、住宅扶助は498億円です。この住宅扶助を直近の生活保護世帯数116,322で割ってみると世帯当たり428,866円、月割りすると35,738円となります。

40,000円前後の賃料のワンルームマンションやアパートは、検索すればたくさんでてきます。相当数のマンションが生活保護対応住宅となっており、住宅扶助により家賃が負担されています。

一番多額なのは、医療扶助費で平成27年度の生活保護費の予算のうち、1,308億円となっています。医療扶助を直近の生活保護世帯数116,322で割ってみると世帯当たり1,124,464円、月割りすると93,705円となります。

一般世帯なら3割負担なので、毎月28,111円医療費を支払っていることになります。生活保護の受給者は窓口負担がないから、使い放題だという批判がありますが、精神科の入院費が多額を占めているというような実情もあり、簡単に解決できるというものでもありません。

また1806億円が医療業界と不動産業界に流れていますが、住宅扶助費のうち15%ぐらいは固定資産税として、医療扶助費のうち給与や報酬として大阪市在住者に支払われたものは、住民税として大阪市に戻っています。

住居と医療の提供は最低限の生活を維持するために重要ですが、医療扶助と住宅扶助の見直しが抜本的に行われれば、医療業界と不動産業界に与える影響は甚大です。

生産年齢人口が増えない中、医療扶助費、住宅扶助費は、ともに医療業界と不動産業界において既得権益化しており、各業界において行政からの一種の補助金となっております。したがって、生活保護費を削減されて困るのは、受給者のみならず、政治力の強い医者も不動産オーナーも同じな訳で、生活保護世帯や保護率が一気に改善するということはないものと予測されます。