まずはマイナンバー制度の導入に伴い、副業がばれると世間では言われています。
今でも、国税当局が税務調査をした際に、支払を受けた者が申告していなければ、既にばれています。源泉所得税を天引きしていなければ、源泉徴収義務違反で支払者は追加徴収されます。もし支払調書を支払者が提出せず、源泉所得税も天引きしていなかったら、支払を受けた者にも税務調査が及ぶ可能性が高くなります。
国税当局が把握した情報は、縦割り行政の弊害もあり、市町村や健康保険組合に円滑に全てが提供されていたわけではなかったものと思われます。たとえば個人だと、住基番号、免許証番号、年金番号等番号を持ちすぎです。番号があればあるほど、その番号を管理する予算も人員も必要な訳で、その方が都合がよかったのです。
しかし番号を一括化し、全ての情報を一元化していこうという、企業なら当たり前に実施されていたようなことを、国が遂に重い腰を上げて実施することになりました。今までなら、いろんな業界団体が廃案に追い込むとか、運用で骨抜きにするとか動いていたんですが、今回はすんなり議会を通過しました。
マイナンバー制度の導入後は、政府機関で一番の情報量を持ち、調査及び徴収能力を有する国税当局が、マイナンバーポータルに個人の所得や保有資産の情報を提供すれば(ガリガリと入力すれば)、市町村や健康保険組合が瞬時に確認できるということになります。政府機関相互間における調査コストや検索コストが劇的に削減されることになります。
よってマイナンバー制度の導入により副業での所得(無申告)が市町村や健康保険組合等のあらゆる政府機関に瞬時にばれてしまうというのが適切です。下図の符合同士を紐付ける仕組みがフル稼働する訳です。
そして住民税が上がり、個人事業者の場合は健康保険料が上がります。所得水準によっては所得税より住民税や国民健康保険料の方が高額になります。
※総務省 マイナンバー制度について
属性情報
上のイメージにおける赤字の属性情報が、所得や資産等の情報となります。数値データや文字データは情報量としては小さいので、属性情報はどんどん増えていくことが予測されます。
顔写真等の画像情報もその内、属性情報として共有化されるのではないでしょうか。マイナンバー制度は住基ネットのバージョンアップ版であり、廃止されることは考えられません。膨大な予算が投じられています。住基ネットで対象外だった税務、社会保障での利用、さらに金融期間での登録が必須となれば、もう廃止はないでしょう。
税金や社会保険料の金額は、所得に対して課されます。固定資産税や自動車税等は資産に対して課されます。国民一人一人の所得と資産にマイナンバーという番号を附することにより、名寄せを簡単にして一括管理し、税金と社会保険料を適正に負担してもらうというのが目的です。年金積立金がまだ潤沢であれば、この制度も導入されなかったか、廃案に追い込まれたでしょう。
少子高齢化にも関わらず、今の社会福祉制度を維持するのであれば、もはや税金や社会保険料を上げるしかありません。
税金や社会保険料は払いたくないが、年金の減額や医療費の自己負担増額は受け入れられないという層が多数派を占めると、社会福祉制度は破綻します。政府は社会福祉制度が破綻する前に、医療費の削減や年金水準の引き下げを図ろうとしますが、様々な圧力団体の力により、何の改革も進みません。このままでは破綻へまっしぐらです。逆にこのまま放置して、国債をデフォルトさせ、一旦破綻させた方が社会福祉制度の再設計が容易かも知れません。
現役世代は所得はありますが、資産はありません。高齢者は所得はありませんが、一部の方は資産があります。その両者から効率よく徴収するにはまず所得と資産を、日本国内の個人と法人に全て紐付けする必要があります。
まずは所得に対してマイナンバーが附番されていきます。さらに何年もかけて、順次資産にもマイナンバーが附番されていきます。銀行口座の開設や証券口座の開設にも当然マイナンバーが必要になります。資産を紐付けしないと導入の意味がありません。資産税の方が課税が容易なのです。公務員も民間人も富裕層も貧困層も等しく紐付けされていきます。
自営業や会社経営者等のオーナー等には厳しい時代になりそうです。お金を稼ごうというモチベーションが減退する人も出てくるでしょう。
まるで1984の世界です。ビッグブラザーは一体誰なのでしょうか?