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共同事業を行うための適格合併 事業関連性要件の判定

50%超の株式等の保有関係(支配関係)がある適格合併に該当する合併以外の合併の場合、共同事業要件を満たせば適格合併に該当することとなります。共同事業要件のうち、事業関連性要件について、具体的な判断基準が明確化されています。

 事業関連性要件の概要

50%超の株式等の保有関係がある適格合併に該当する合併以外の合併が次に掲げる要件のすべてに該当するものである場合には、被合併事業と合併事業とが相互に関連するものに該当するものとする。

1 被合併法人及び合併法人が当該合併の直前においてそれぞれ次に掲げる要件のすべてに該当すること。

10141イ  事務所、店舗、工場その他の固定施設(その本店又は主たる事務所の所在地がある国又は地域にあるこれらの施設に限る。)を所有し、又は賃借していること。
固定施設としての実態が必要となります。

ロ  従業者(役員にあっては、業務に専ら従事するものに限る。)があること。
実際に給与が支払われており、業務に従事する雇用関係のある従業員がいなければなりません。

ハ  自己の名義をもって、かつ、自己の計算において次の①~⑦のいずれかの行為をしていること。

①  商品販売等(商品の販売、資産の貸付け又は役務の提供で、継続して対価を得て行われるものをいい、その商品の開発若しくは生産又は役務の開発を含む。)
②  広告又は宣伝による商品販売等に関する契約の申込み又は締結の勧誘
③  商品販売等を行うために必要となる資料を得るための市場調査
④  商品販売等を行うに当たり法令上必要となる行政機関の許認可等の申請又は当該許認可等に係る権利の保有
⑤  知的財産権(特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。)の取得をするための出願若しくは登録(移転の登録を除く。)の請求若しくは申請(これらに準ずる手続を含む。)、知的財産権(実施権及び使用権を含むものとし、商品販売等を行うために必要となるものに限る。以下「知的財産権等」という。)の移転の登録(実施権及び使用権にあっては、これらの登録を含む。)の請求若しくは申請(これらに準ずる手続を含む。)又は知的財産権若しくは知的財産権等の所有
⑥  商品販売等を行うために必要となる資産(固定施設を除く。)の所有又は賃借
⑦  上記①~⑥に掲げる行為に類するもの
自己の名義をもって、かつ、自己の計算において、営業行為を行っている(契約主体は法人)ことが必要です。休眠状態にあるペーパーカンパニーは該当しないこととなります。

2  被合併事業と合併事業との間に当該合併の直前において次に掲げるいずれかの関係があること。

イ 当該被合併事業と合併事業とが同種のものである場合における当該被合併事業と合併事業との間の関係

ロ 当該被合併事業に係る商品、資産若しくは役務(それぞれ販売され、貸し付けられ、又は提供されるものに限る。)又は経営資源と当該合併事業に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源とが同一のもの又は類似するものである場合における当該被合併事業と合併事業との間の関係

ハ 当該被合併事業と合併事業とが当該合併後に当該被合併事業に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源と当該合併事業に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源とを活用して営まれることが見込まれている場合における当該被合併事業と合併事業との間の関係

以上は、合併直前における充足要件となります。

合併後における、事業関連性の関係の推定

合併に係る被合併法人の被合併事業と当該合併に係る合併法人の合併事業とが、当該合併後に当該被合併事業に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源と当該合併事業に係る商品、資産若しくは役務又は経営資源とを活用して一体として営まれている場合には、当該被合併事業と合併事業とは、前項第2号(事業関連性要件)に掲げる要件に該当するものと推定する

合併後において、一体化して運営している場合には、要件を満たしていると推定されます

税制適格要件を否認された場合、繰越欠損金の引継ぎが認められないため、合併前における事業の関連性、もしくは合併後一体として事業を営むことに事業上の必要性があるかどうかを慎重に検討しなければなりません。合併による相乗効果を具体的に税務当局に説明できるようにしておきましょう。